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去年ここでも散々ご紹介した Fabien Prioville とバレエノアの「紙ひこうき」、
日本の人たちがピナ・バウシュ流のタンツテアターに取り組んで見事にやっての
けた、それも日本の女子高生が心に隠し持つ負の部分を鮮やかにえぐり出してい
た、創りだした演出・振付家はフランスの人で、ディスカッションを重ねながら
作品を共に創り、踊り演じたのは高崎の現役女子高生や助教師クラスの人たちだ
から「プロ」ではなかった、などなど様々な理由で日本のダンス界に大きな衝撃
を与えました。
一体どれほどの反響があったかと言うと、
・4月の初演直後から再演のオファーが来て8月に世田谷で再演した
・第8回朝日舞台芸術賞の選考対象になっていた(取れなかった)
・ピナに招かれて11月の国際フェスティバルに正式参加し、ドイツで2回
上演した(フェスティバルの一つのハイライトだった、と言われた)
・別のフェスティバルから招かれていて、今年もドイツで7月に上演する
などなど、まあ現代ダンス作品としては破格の扱いでしたよねえ。
朝日舞台芸術賞がどうたらって話は後から聞いてうへーと思ったんですが、舞踊
部門で同時に選考対象になっていたのが Noism の「Nameless Hands」と新国立
劇場バレエ団の「アラジン」だったと知って、二度びっくり。結局受賞したのは
Noism でしたけど、行政がバックについて今の国内でトップを走っている二団体
と肩を並べたんですから、バレエノアとしては大いに誇りとすべきでしょう。む
しろ、賞なんか取っちゃったら後が大変だったかも? ちなみに今年から同賞は
休止になってしまいましたから、もう賞にこだわる必要はないですね。:-)
それで、バレエノアの人たちは7月にドイツへ行く直前の6月29日(月)に高崎市文
化会館でこの作品を上演するそうです。いわば地元向けの成果発表ですね。多感
な世代が心に持つ負の部分、みたいな作品テーマはきっと時代を超えて普遍的な
ものだろうと思いますが、時代が変われば負の部分の中身だって違ってきますし、
メンバーが替わるだけでも作品の味わいは変わりますから、きっと初演時のオリ
ジナル版に近い形で上演できるのは、これが国内最後になるだろうと思います。
(もうすでに「2009年バージョン」だそうですけど。)
この作品がもたらした衝撃の凄さは先に述べた通りですし、職業的な批評家によ
る評論集はこちらで読めますけど、何よりこの舞台はカッコイイんです。だから
こそおすすめします。どれくらいカッコイイのかをストレートに伝えている文章
がありますから、ぜひ一度読んでみてください。主としてコンテンポラリーバレ
エを踊っている現役のプロダンサー、クロエさんのブログ(旧サイト)です。
http://ameblo.jp/chloe/entry-10089304045.html
クロエさんはちょうど出演者の年嵩の人と同世代の踊る人だから、作品創作過程
の本質をずばりと見抜いています。舞台と作品とダンサーへの共感がストレート
に伝わってきて、どんな評論よりも魅力がわかると思います。古いサイトへのリ
ンクを許可してくれたクロエさんありがとう。この文章を読んで共感できた人に
こそ「紙ひこうき」を見てもらいたいと思います。クロエさんも書いている通り、
ジャンルを問わず踊りを学んでいる人や表現しようとする人、舞台に興味がある
人と、これまでなかった人。ぜひ見てください。6月逃すと、もう見れないよ。
高崎公演は前売り3,000円、当日3,500円ですが、高崎市文化会館と共催なので、
会館の友の会に入っていると前売りが2,700円になるそうです。チケットは主催
者ばかりでなく、会館窓口や会館指定の各プレイガイドでも発売中。チケットと
は別に、公演経費の足しにするべく一口3,000円の協力金も求めています。詳し
くはチラシ画像をクリックして拡大して読んでください。(各1000×1403, 340KB程度)
Youtube の動画。映像で見るより、生の舞台の方が圧倒的にカッコイイですよ。
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